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情報化社会について

2011年11月25日

3冊の本を軸に情報化社会について考えてみました。




情報化社会について_d0182220_5533798.jpg


情報化社会。

この概念は実は梅棹忠夫という人物が「情報産業論」で世界に先駆けて予測しています。
池田内閣による「所得倍増計画」から3年目、黒四ダムが完成した1963年。
日本の近代的工業化が、潤沢な電力の供給によって本格化しようとする時代です。

まず情報という言葉を、広く解釈して「人間と人間の間で伝達される記号の系列」ととらえ、
放送、新聞等マスコミの他、競馬、教育、宗教等も「情報を売る」という点で同じであるとしています。
そして、人類の産業史を農業の時代、工業の時代、精神産業の時代と整理しています。
この考え方だと一般的な第三次産業に属する商業や運輸業やサービス業のかなりの部分は、
第二次産業の工業の生産物を処理するための、付属的、補助的な産業にすぎません。

面白いのが人類の産業史を生物学的に系列化している所です。
【農業】消化器官系を中心とする内胚葉諸器官の機能充足の時代
【工業】筋肉を中心とする中胚葉諸器官の機能拡充の時代
【情報】脳神経、感覚器官を中心とする外胚葉諸器官の機能拡充の時代
こう考えると人間の産業史は生命体としての人間の自己実現の過程だともとらえることができます。

そして1987年、情報の考現学の一節。

工業社会はまだ、情報産業を競争相手とはみていない。生産の原理が、工業から情報生産業にうつりつつあることを認識したときに、工業はどういう態度をとるであろうか。そこで「工業こそは国の礎」という反動イデオロギーが発生する可能性がある。それはおそらく農本主義にならって、工本主義と名付けられるだろう。工業の時代にあって、農業は保護産業となった。それは食管会計という奇跡的な制度によってかろうじてささえられ、工業社会にとっては大きな負担となった。同じ運命が工業においてもまちかまえている可能性がある。

近年の自動車産業の税制や補助金、そして円安介入を見ていると、やや不安になってきます。


情報化社会について_d0182220_5504672.jpg


まず、インターネット上で検索エンジンはドキュメントの一部をカバーしているに過ぎません。
検索エンジンは一定の水準を超えたら深入りせず、アルゴリズムを利用して最善のページを選び出します。
またインターネットはランダムネットワークでは無く、
ベキ法則に従うスケールフリーネットワークです。
大半のノードはごく少数のリンクしか持たず、少数の莫大なリンクを持つハブの存在があります。
よって故障には強いですが、ハブを狙われると弱く、優秀なクラッカーが集まれば簡単にインターネットを破壊できるという脆さもあります。
そして、細胞内のタンパク質をつなぐリンク、細胞の代謝、人間の性的関係、ハリウッド、
経済の背後にある複雑な協力関係のウェブ等、様々なものが同じ法則にしたがっているようです。
15歳のクラッカーはどのようにして10億ドル企業の機能を停止させたか?
伝道者パウロはどのようにしてキリスト教を拡大していったか?
この法則を理解することがネットワークを広げる鍵となるようです。


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Curation
無数の情報の海の中から、自分の価値に基づいて情報を拾い上げ、そこに新たな意味を与え、
そして多くの人と共有すること


・ある情報を求める人が、いったいどの場所に存在しているのか。
・そこにどうやって情報を送り込むか。
・その情報にどうやって感銘を受けてもらうのか。
この3つが情報の流れの究極の課題ですが、インターネットの普及、マスメディアの影響力の低下に伴い、「場所を押さえる」ことが困難になってきています。
良いコンテンツがきちんと良い消費者のもとへ送り込めないというのが短期的には最大の課題です。
(解決方法は長くなるので…)

また消費の傾向も、シンプルな「機能消費」、新たな「つながりの消費」へと変化しています。
更に「クラウド」と「シェア」によってものを持たなくなる時代、現代の「清貧の思想」が生まれます。
「若者の車離れ」「若者の旅行離れ」といった「若者の〇〇離れ」、「草食」などと侮辱的に新たな生活文化を非難している人達は、実は自分たちの方こそが大量消費社会のなれの果てなのです。

商品の消費から、「行為」や「場」の消費へ
モノから、何かをする「コト」へ




以上まとまりも無く、興味のあるとこだけまとめていきましたが、全てつながってる気もします。
実際この先どうなっていくかわかりませんが、
製造業の多くが途上国にとって代わられることは必然で、
情報が情報を生むといった産業に大きな開拓の余地があることは間違いないでしょう。
それとともに、どう情報を関連付けるかがカギになってきます。
例えばネットで新聞を読む場合にもデータ管理によって1人ひとり傾向にあった記事が送られ、
それを更に企業向けにコンサルティングする会社も出てくるかもしれません。
もちろん高度な情報化が進めば、新たな農業、工業の発展も期待できます。
教育という点では「人とつながる力」「情報を整理する力」を強化する必要がありそうです。
また、このような時代になるからこそ、情報だけでなく「実際に体験する」ということも非常に重要な活動になるでしょう。

東大の前学長、小宮山宏は著書「知識の構造化」において、「知識のビックバン」により、教授室は論文の墓場になっていることを嘆き、今後研究者の半分は、「研究が人間の価値にどう結びつくかという研究」をしているのではないかと推測しています。

「情報が人間の価値にどう結びつくか」ということが情報化社会の要になるでしょう
by kagosima1023 | 2011-11-25 12:53 | 考えごと


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