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算数教育・量について

2011年2月18日

バングラデシュに来て、様々な点で量という点が軽視されてる感じがしましたが、
そもそも自分の中で量について曖昧だったため、勉強することにしました(^^ゞ
「量の理論」遠山啓を参考にしました。
簡単にまとめられる内容では無さそうなので、かなりはしょってます◎

遠山啓は物体→実数のプロセスを重視し、2つを繋ぎ合せるために量の体系を算数教育の中心に持ってきました。数は量の上に築かれる上部構造であると…
そして、量の体系は量の分類から始まると言っています。

まず、数を大まかに分離量と連続量に分けました。
分離量とはおはじきや小石のように構成する1つ1つの要素が孤立していて、
互いに融合したりせず、逆に分割もできない。1,2,3…と整数で表すことができる量です。

連続量とは水や金属などつながったもので、融合でき、分割することができます。
分離量の1は分割不可能ですが、連続量は単位を超えていくらでも分割できます。

わり算(除法)において、
連続量では式の中に、m、㎏などの単位をつけることで、等分除と包分除の区別がつきます。
分離量では2つを区別する必要が無いため、式が同じになってもかまいません

 ※連続量では
  「6ℓを3等分するといくらか」 6ℓ÷3=2ℓ…等分除
  「6ℓの中に3ℓはいくつあるか」 6ℓ÷3ℓ=2…包分除
  と、はっきり区別できます。

 ※分離量では
  「6コのりんごを3人にわけると1人前は何コずつになるか」 6÷3=2

  という等分除の問題は一回配って3コ、2回目3コで、
  結局3コが6コの中にいくつ含まれているか、を考えることになって包分除に転化します。
  分離量では等分除と包分除が互いに転化し合うのです。


次に連続量を外延量と、内包量にわけました。
外延量とは「ひろがり」の量であり、長さ、面積、時間などです。
内包量とは「強さ」の量であり、密度、温度、濃度などです。
単純に外延量は加法的な量であり、内包量はそうではありません。

量の体系から見ると、加減は外延量に関係し、乗除は内包量につながってきます。

分数において、遠山は割合分数に強く反対し、分数を2つの分離量の関係として考えるべきではなく、1つの連続量の抽象的表現と見るべきだと述べています。割合は連続的な外延量が終わったあとで、2つの連続的な外延量の比較として出されるべきであると考えています。そして、その対比から
度や率などの内包量が生れてくると。

 ※割合分数は相対的な量ともいえる。
  「2ℓの水が入ったバケツから、ビンに2分の1水をとる」   …とった量は1ℓ
 
 ※量分数は絶対的な量ともいえる。
  「2ℓの水が入ったバケツから、ビンに2分の1ℓ水をとる」  …とった量は0,5ℓ

すご~くざっくり言うと、
基本的には分離量、連続量、外延量、内包量の順で指導するといいってことです。


そして、量の問題として、量感は主要な問題では無く、量概念の形成が重要であると言っています。
量感というのは、せいぜいケタを間違えない程度でいいと。
それよりも直接比較、間接比較から、個別単位(任意単位)、普遍単位と4段階で学習することが重要であるということです。
そしてこの段階で、未測量が既測量に転化します。

面白いのは、未測量の立場からすると、既測量は仮の着物のようなもので、いつでも着替えが出来ます。1cmの長さは3.3分ともなります。ということは、この立場からみると、整数、少数、分数に大きな違いはありません。分数どころか、無限数にでもなれます。つまり、実数一般はみな同じようなものということになるのです。

もう一つ、2㎏+3㎏の計算において、2㎏、3㎏、そのものは決して存在しないということです。
それらはいつも何ものかの重さとしてしか実在し得ません。

そしてこの量という考えは、数学教育、理数教育とも深く繋がっています。
このくだりまで書く元気は無いのでやめときます(>_<)


ぐだぐだと書いてきましたが、量というものにおいても、系統性が重要であり、
事象を細かく分類することで、より段階的な指導を行えるといことです。
また、数学教育、理数教育と広い視野でとらえなければ本質がずれてしまうということがとても印象に残りました。私は数学の専門家でもなく、ふわぁ~と理解したまでに過ぎませんが(^^ゞ
まあバングラデシュで使えるかどうかはともかく、これからも目の前の問題を固定観念にとらわれず、広い視点でとらえていきたいと改めて思いました◎

後、話はそれますが、理論の論争に対して述べたところを、忘れないように引用しときます。
「単純化された理論は論争にさいにては絶大な強みをもっているものである。複雑で柔軟性をもっている理論は、論争に際してはすきをみせやすいものである」
勝手な独り言ですが、最近なんでもかんでも、単純に、または、わかりやすくするってことが良いとは限らないということを強く感じます。
by kagosima1023 | 2011-02-19 21:13 | 活動


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